地中海式と癌

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植物性食品(野菜、果物)によるがん予防


 

がんの3分の1は不適切な食事が原因で起きる

 

がんは遺伝子の病気と言われますが、それは細胞のがん化が、細胞にとって大事なたんぱく質を作っている特定遺伝子の突然変異によって起きるからです。がん化に重要な役割を持つそれらの遺伝子は、がん遺伝子、がん抑制遺伝子と呼ばれ、これまで100以上のがん遺伝子が見つかっています。がんは、個体が持つがんになりやすい素因(体質)に、様々な環境要因が加わって発生します。しかし、その過程は単純ではなく、複数の遺伝子変異が多段階的に起きるためと説明されています。

がんの発症要因(米国の場合)は、ハーバード大学の研究チームが1996 年にまとめた推定によれば、影響の高い順に、以下のようになります。

 

1 タバコ 30%

 

2 食事 30%

 

3 運動不足 5%

 

4 職業 5%

 

5 遺伝 5%

 

6 ウイルス・細菌 5%

 

7 その他 20%(周産期・生育5%、生殖3%、アルコール3

  %、環境汚染2%、食品添加物・汚染物質1%ほか)

 

つまり、がんの専門家はがんの1/3は喫煙によって、1/3は不適切な食事によって起きると考えています。野菜や果物など植物性食品を多く摂る、塩分摂取を控える、適度のアルコール摂取を心がけるなど食生活の改善によるがんの予防効果は、口腔、咽頭がん(35-50%)、食道がん(50-75%)、肺がん(20-33%)、胃がん(66-75%)、肝臓がん(33-66%)、結腸・直腸がん(66-75%)、乳がん(33-50%)と推定され、食物が通過する内臓器官のみならず、肺や乳房においても、高い予防率が示されています。WCRF(世界がん研究基金)/AICR(米国がん研究財団)の報告書(1997年)による。

 

植物性食品は、二段階の発がん過程を抑制する

 

遺伝子に変異を起こした細胞が、体内で成長したがんに育つまでに、20 ~30年を要します(現在日本で増えつつある前立腺がんは、高脂肪食が原因の一つとして推定されていますが、がんの芽が生じて発病するまでに45年かかると試算されています)。がんの発生には以下に述べる二段階の過程が考えられています。

 

  第一段階:イニシエーションとよばれ、発がんの引き金にあたる段階

 

  第二段階:プロモーションとよばれ、がん化促進の段階

 

フリーラジカル(活性酸素)、タバコに含まれるベンツピレン、環境汚染物質のダイオキシンなど発がん物質が、正常な細胞のDNAにはたらいて、がん遺伝子のスイッチをオン(イニシエーション)にし、その後、がん化した細胞の増殖は、塩分や脂肪の摂取過多に代表される不適切な食事、喫煙、過度の飲酒などによって促進されます(プロモーション)。

緑黄色野菜や果物に含まれるビタミンE、ビタミンC、カテキンなどのポリフェノールは、上述した活性酸素による発がんのイニシエーションを抑制し、ビタミンA、カロチノイド(βカロチン)は、プロモーションを抑制します。またネギ類に含まれる硫化アリルは、胃がんの発がん物質を除去するはたらきがあり、非水溶性の食物繊維には、大便の大腸通過時間を短縮して便通をよくし、腸粘膜と発がん物質の接触時間を短くすることで、大腸がんの発がん物質を薄める作用があります。

 

 

野菜、果物のがん予防効果、まとめ

 

以上、植物性食品(野菜、果物)に含まれるビタミン、カロチノイド、食物繊維などはがんの予防に役立ちます。現時点で野菜、果物の摂取を増やすことによって予防できるがんは、以下のように考えられています。上述、WCRF/AICRの報告書(1997年)による。

A 予防効果が確定的

  野菜:口腔・咽頭、食道、肺、胃、結腸・直腸

  果物:口腔・咽頭、食道、肺、胃

B 予防効果がほぼ確実

  野菜:喉頭、膵臓、乳房、膀胱

  果物:喉頭、膵臓、乳房、膀胱

C 予防効果の可能性あり

  野菜:肝臓、卵巣、子宮、前立腺、甲状腺、腎臓

  果物:卵巣、子宮、甲状腺

 

具体的には、四季を通じて一日当り400g~800g、あるいは五皿(一皿は80g相当)以上の多種類の野菜や果物を食べることが勧められます。平成8年の国民栄養調査では、日本人の一日平均摂取量は、野菜は300g、果物は120gという数字で、合計420gとぎりぎりの数字でした。日本古来の伝統的な食事は、穀類や野菜類、豆類、海藻類など植物性食品を基本としています。がん予防のためには、特定の成分にこだわることなく、これら植物性食品を基本とした食事をバランスよく取ることが大事です。


なお、この記事の内容は「美味しくて健康的で太らないダイエットなら地中海式」佐々木巌著、大学教育出版 に詳しく記載されています。


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