地中海式ダイエット、世界無形文化遺産となる

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世界無形文化遺産に登録された地中海式ダイエット

 

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2010年11月、ユネスコは地中海式ダイエットを世界無形文化遺産に登録しました。ユネスコの声明によると、「地中海式ダイエットは、その景観から食卓にいたるまで、作物の栽培と収穫、漁猟、保存、調理、食事に関する知識、技術、伝統の集合である」と定義されています。

 

世界無形文化遺産の認定は2003年にスタートし、認定対象には、口頭伝承、舞台芸術、社会的慣習、儀式、祝祭行事など、祖先から受け継ぎ子孫に伝える伝統や生活表現が含まれます。世界にはさまざまな伝統文化、芸能、祭りがあります。日本では能や歌舞伎がすでに登録されており、最近では広島の「壬生(みぶ)の花田植」が世界無形文化遺産に認定され話題になりました。

 

食文化や料理の領域でユネスコの世界無形文化遺産に登録されたものとして、伝統的なフランス料理やメキシコ料理があります。地中海式ダイエットを無形文化遺産に提案したのはイタリア、ギリシア、スペイン、モロッコの4カ国であることから、特定の国や地域の料理ではなく、オリーヴオイルやワイン、穀物などを主とした地中海地方に特徴的な食事モデルが認定対象であったことがわかります。さらにその食事モデルに加えて、地中海のライフスタイルが良好な健康をもたらすことが科学的(医学的)に証明されている点が評価され、今回の認定につながりました。

 


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地中海式ダイエットの特徴をスライドにまとめました。その食事モデルの特徴は、いつもお見せする地中海式ダイエットのピラミッドに表れています。

つまり、1)オリーヴオイルを習慣的に用いながら、穀物、新鮮な果物、野菜を毎日摂り、蛋白源としては適量の乳製品、豆類、魚介類、肉を摂る。2)食事中にワインを飲む。そのような食事の構成に加えて、今回ユネスコは3)地域社会の信念が尊重されることを挙げています。

 

地域社会の信念とは、あまり聞きなれない言葉ですが、何を意味しているのでしょうか。イタリアを例にとってご説明します。イタリアは今年建国150周年を迎えますが、もともとは明治維新前の日本と同じように北から南まで小国が分裂していました。明治以降、日本では地方色が薄れてきたのに対して、イタリアでは現在でも個性豊かな地方文化、食文化の特色が残っていると言われます。例えば地方に行くと、外国料理のレストランは皆無であり、地域の新鮮な農作物を地元のオリーヴオイルで調理し、さらに地元のワインと併せて食事するというスタイル(ダイエット)が続いているのです。

 

そのような生活、食事のスタイルは必然的に人と人の交流を深めることでしょう。毎日の食卓を囲む家族のふれあいはもちろん、食品の生産者と消費者の交流、さらには地域の催しや祭りを通じて住民同士の交流を深めます。文化的にみれば、食事、食習慣は社会的慣習や儀式のなかで重要な役割を占めており、祭りで歌われる歌や、物語・伝説などの口頭伝承にも食べ物に関する事柄が表現されることがあります。

 

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人々のふれあい、社会的慣習、生まれ育った土地で収穫される新鮮な農作物、豊かな海の幸を届けてくれる漁撈など、そうしたこと全てが身の回りの自然や風物への愛着を育み、地域社会の一員としての誇りを高めることにもつながるとユネスコは説明しています。「地中海式ダイエットは、その景観から食卓にいたるまで、作物の栽培と収穫、漁猟、保存、調理、食事に関する知識、技術、伝統の集合である」という意味はそこにあるのでしょう。

 

ダイエットという言葉には、食事のみならず「食事を含めた生活スタイル」の意味が込められていると申し上げました。地中海式ダイエットは、ただオリーヴオイルを使った料理やパスタを作って食べるというだけでなく、ゆっくりと皆で歓談しながら、人と人の交流を深めつつ食事をするというスタイルがぴったりです。今日の食談会も、そのようなゆったりした気分で楽しみましょう。


http://www.unesco.org/culture/ich/index.php?lg=en&pg=00011&RL=00394



この文章は2011.7.2に行われた、第9回地中海式ダイエット食談会の講演内容をまとめたものです。なお、この食談会の内容は「美味しくて健康的で太らないダイエットなら地中海式」佐々木巌著、大学教育出版 に詳しく記載されています。


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